僕は顕微鏡を使ってはならない
(自分でひとつのプレパラートになって)
僕は望遠鏡を使ってはならない
(自分の脚で距離を消し)
僕は只生まれたての眼だけで見よう
谷川俊太郎の私の大好きな詩のうちのひとつ。
今、疲れているけど頑張ってブログを書く。
分からない事が沢山だ。私はもっと フィリピン人の気持ちについて勉強するべきだった。
振り出しに戻ろう。
とにかく前回のブログにも書いたとおり、この島の人が協力的でない事に悩んでいた。
動機付けは”お金”では足りないという事実にぶつかり、どう打開すれば良いか、ヒントを得る為
とにかく自分の足でその答えを探す為にオフィスを飛び出す。
って書いていて冒頭のこの詩を思い出した。
何かを求めたら、それが物質的なものでなくても そこ(答え)までの距離は自分のこの足で消すしかないんだとしみじみ思う。
JICAボランティアメンバー同士で近所地域内の新メンバー歓迎会があった。そこで先輩の話を聞く。
近くの街で活動しているオーストラリア人のボランティアに相談しに行く
フィリピンでビジネスを立ち上げた経験のあるフィリピン人に相談する
今は友達となった現地語の先生だった人に会いに行って相談する。
それで、色んな事が見えて来た。
私は間違ったアプローチの仕方をしていた事。
今回分かった事実
1、彼らにとってお金は3食食べる為のものであり、それさえ手に入っていればそれ以上のお金には興味が無い。
2、友達や家族の繋がりが大事。彼らと友達になる為に定期的に(一日おきなど)彼らと一緒に過ごす事で後々協力してもらえるようになる
3、臨時収入、永続的でない仕事だと思うと後回しにされる。ずっと続く収入源になると分かってもらう為のビジュアル的なプレゼンや、話が必要。
4、彼らにとって「デザイナーに与えられたデザインを頼まれたから作った」とではなく「自分達(コミュニティー)のオリジナル商品の開発をボランティアが手伝っている、全ては自分達の企画・デザインである」と思ってもらえるようにする
前にも聞いたような内容だけど、全然できて無かったなーと反省…。
私なりに彼らの技術をリサーチして、マーケットと消費者のニーズも考慮した上で
デザインを提案したつもりだったけど…
コミュニティーの人にとってはデザインの良し悪しなんかどうでも良いし興味が無い。それよりもプロセスや気持ち、達成感、”自分の商品”という愛情・・・といったものの方が大事。
振り出しに戻ろう。
とにかく何も無くても通うんだ。片道1時間近くかけて。
紙とペンだけ持って、彼らとお喋りをしながら 何か書いたり
編み方を教わったり
そうやって ”油を売る、無駄話をする事” が必要だったんだ…。
私のデスクの置いてあるオフィスの受付の女の子の言葉を思い出す
「私にとってお金はただの紙切れでしかない。お金をくれる人よりも私は私と一緒に時間を共有してくれる人が大事」
・・・・・
大事な時間の使い道を、あなたと一緒にいる事に費やす事を選ぶ。これって確かに一番の愛情表現だよなってしみじみ思う。