2013年6月27日木曜日

The bigest shock I've had in this country 教育は宝

先進国で生まれ育った人間が、途上国でショックを受けるという事。

私は今日この3ヶ月で一番大きなショックを体験した。
 物乞いの子供も見たし、いかにスリやひったくりが多いかって話も聞かされていたし、土の上に小さな和式便器が置かれただけの鍵の無いトイレも経験した。
人々が橋の下のじめじめした洞窟のような深く暗い空間に上下2段に空間を区切り、びっしりと巣のように生活する場所も実際に入ったし、キノコクリームパスタがカルボナーラと呼ばれているショックも受け止めた。

けれど今日私が目の当たりにした現実は、私が予想していないものだった。

バスケット(整理箱)のファーストサンプルを作ってもらうコニュニティーに行った時の事。
サイズの入ったデザイン画に加え、紙で作った実物サイズの模型を見せながら説明した。
そのバスケットは、上部に行くに従って広がっていくデザイン。台形。前から見ても横から見ても上部の広がった台形。
で、彼らはコーナーのエッジの長さと、面の中心に垂直に伸びる線の長さが違うという事を理解できないのだ。
斜めのラインは、垂直のラインよりも長くなるという事実。その概念が無い。
こういう行き違いがあると思ったから実物大の模型を持って行ったのだが…。
「4つのエッジを真ん中の垂直のラインより長くしたら上部の口のラインがカーブするよ」
と大真面目な顔して言うのだ。カウンターパート(私の一番近くで一緒に私のプロジェクトを遂行する人。50歳近い)の女性とそのコミュニティーの人、大人が3人まとまってそう言う。
 ここに現物模型を持って来ているのに。それは、トップの口のラインはカーブしていないのに。彼らはそのモデルに定規を当ててもなお自分たちの「カーブしてしまう論」を曲げないのだ。
一番ショックだったのは、モデルで証明されている事実より頭の中で作った理論を優先させるという事。

 教 育 さ れ て い な い と い う こ と
沢山触れ合ってきたカウンターパートのその女性はパソコンも使えるし行動力もあって信頼しているのだが、まさかこんなに基礎的な事実も知らなかったとは。つまり、この島の住人の何パーセントが簡単な図形と立体の知識が無い?ほぼ100パーセントだろう。
自分の動機が早まってすごく動揺している自分を客観的に見て、ショックの大きさを知った。
だから声を張り上げたりしつこく事実を主張するでもなく、「ごめん、5分頂戴」と言ってその場を離れる。
自分を落ち着けるために。私は泣きたかった。アンフェアな世の中に。ああ、こういう人が沢山いるんだ。
 教育。
私たちが当たり前のように身につけて来た教育は、宝だ。例え小学生レベルのものでも。

結局私は、「真ん中の垂直のラインの長さは気にしないで、ただエッジの長さと、底と口の四角のサイズをこの模型に合わせてほしい」
と言った。

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どれだけこのアンフェアな世の中をフェアに近づけられるか。
それが例えびびたる変化でも、何もしないより何かしたほうが良いから。
better than nothing.

私の尊敬する友人のひとりマラウイで栄養士として活躍する やま のブログ"RECIPE for..."
から拝借
  "何かしたい者は手段を見つけ、何もしたくないものは言い訳を見つける"

…私も全く同じスピリットで生きてる!

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今日見たきれいなもの

トライシクルから見た田舎の広々広がる畑の風景。
空には虹も見えた。 この島が私の第二の故郷となって、未来にまた戻って来るんだろうなあと考える。

1 件のコメント:

  1. すごいよね、教育とか習慣とか。
    ここは途上国の中では中進国で、それでも人による感覚の差が大きい。私は今『清潔』の感覚の違いをどうしようかと考えているよ。でもサンプルを持って行ったのは偉い!
    どんなに頭の中の間違った理論が先行しても、やっぱり見せるものがあると違う方法でも伝えやすいはず。頑張れ!
    カナ

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